マーケティングってそもそも何?
マーケティングとは、自然に売れる仕組み作りです。マーケティングは、私たちが日常で接する商品やサービスの背後にある重要なプロセスです。企業が市場で成功するためには、ただ商品を作るだけではなく、消費者にどう届けるか、どう魅力を伝えるかが鍵になります。そこで活躍するのがマーケティングです。
本記事では、マーケティングの基本から種類、役割、重要性、マーケティングに対する批判に至るまで、押さえておきたいトピックスを詳しく解説します。
マーケティングとは
マーケティングとは、自然に売れる仕組み作りです。単に商品を並べて顧客が買うのを待つのではなく、顧客がプロダクト(商品やサービス)に対して自然と価値を感じ、欲しいと思う状況を意図的に作り出すことを指します。
企業がプロダクトを売るためには、プロダクトの存在を知ってもらい、興味を持ってもらう必要があります。さらに、店頭やECサイトに来てもらったり、問い合わせをしてもらったりしなければなりません。もちろん、最終的には、購入してもらうことがゴールです。これらの流れを作ったり増やしたりするのがマーケティングです。
マーケティングと広告の違い
マーケティングと似たものとして、「広告」という言葉があります。広告はマーケティングの一部であり、買ってほしい人に商品の存在を知ってもらうためのものです。
私たちは、テレビや新聞雑誌、街の看板、インターネットの検索結果やバナー画像、動画サイトなど、いたるところに広告を目にしますが、広告主は、マーケティングの一環として広告を出しています。
広告ではないマーケティング活動としては、たとえば、企業が自社のウェブサイトを作成し、検索エンジンを通じてそのサイトに訪問者を集める方法があります。また、新しいプロダクトを開発するために、自社や競合他社のプロダクトの評判を集め、分析し、仮説を立てることもマーケティングですが、広告ではありません。
マーケティングとブランディングの違い
もう一つ、マーケティングと似たものとして、「ブランディング」という言葉もあります。ブランディングもマーケティングの一部で、特に企業や商品に対して特定の印象を消費者に抱いてもらい、信頼や好感を築くための活動を差します。
ロゴやパッケージのデザイン、ネーミング、キャッチフレーズなどがブランディングの守備範囲です。歴史的に見ると、ブランディングは、大型の予算をかけてマスメディアに広告を出すことが重視されてきました。
しかし、インターネットの普及によりマスメディアの影響力が落ちた現在、サイトのデザインやSNSでの発信などがブランディングの重要な要素となっています。単に企業や商品の見た目を統一するだけでなく、消費者との信頼関係を築き、一貫した価値観やストーリーを伝えることがブランディングに求められています。
このように、ブランディングは長期的なイメージ構築に焦点を当てるものです。一方、マーケティングはすぐに販売につながる短期的な施策も含みます。
マーケティングの歴史
日本においては、歴史上、平賀源内がマーケティングを行った最初の人物とされています。平賀源内は、江戸時代中頃から幕末にかけて活躍した多才な人物で、土用の丑の日にウナギを食べる風習を作りました。当時、ウナギは夏場に売れにくかったため、丑の日に「う」の付く食べ物を食べると縁起が良いという語呂合わせで看板を作り、精がつく食べ物であるウナギで夏バテしなくなる、という触れ込みを考え、販売促進をしたのです。
一方、近代のマーケティングの概念は、20世紀初頭、産業革命後の大量生産時代に誕生しました。企業は、「良い製品を作れば売れる」という製品志向のアプローチを取り、広範囲の消費者に製品を届けるため、マスメディアを活用した広告やプロモーションに力を入れました。この時期は「マーケティング1.0」と呼ばれ、製品そのものが中心にありました。
1950年代に入ると、消費者の多様なニーズが重要視されるようになり、企業は顧客のニーズに応えるための製品開発にシフトします。これが「マーケティング2.0」の時代で、消費者志向のマーケティングが台頭しました。さらに、1970年代以降、競争が激化する中で、顧客満足やブランドの信頼を重視する時代へと変化しました。
1990年代からはインターネットの普及により、「マーケティング3.0」が登場。消費者が自ら情報を取得し、企業の理念や価値に共感することが購買動機に影響を与えるようになりました。さらに、2010年代に入ると、AIやIoTなどのテクノロジーが導入され、マーケティングは「マーケティング4.0」から「マーケティング5.0」へ進化。消費者の自己実現をサポートし、人間性を重視したマーケティングが求められるようになっています。
マーケティングの種類
マーケティングは時代とともに進化し、様々な形態が生まれています。主な種類を以下に紹介します。
デジタルマーケティング
デジタルマーケティングは、インターネットやデジタル技術を活用して見込み顧客にアプローチする現代的な手法です。その最大の特徴は、データを活用してターゲットを精密に絞り、個別化されたメッセージを送れる点にあります。
代表的なデジタルマーケティングの手法には、サイト制作、SEO(検索エンジン最適化)、コンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティング、メールマーケティング、そして検索エンジン広告などです。これらを駆使することで、顧客と密接な関係を築き、自然に売れる状態を生み出せます。
アナログマーケティング
アナログマーケティングは、デジタル技術を使わず、従来の手法を通じて顧客にアプローチするマーケティング方法です。
主なアナログマーケティングの手段には、新聞広告、テレビやラジオのコマーシャル、チラシ、ダイレクトメール、看板広告などがあります。これらの手法は、特に高齢者やデジタルに不慣れな層、地域に密着したビジネスで効果を発揮します。直接手に取れるチラシや、対面イベントでの深い交流は、信頼感や実際に触れられる体験を通じて強い印象を残します。
アナログマーケティングは、デジタルマーケティングに比べ効果測定が難しく、費用対効果を見極めるのが課題となります。
マスマーケティング
マスマーケティングは、テレビやラジオ、新聞、雑誌といったマスメディアを通じて、不特定多数に一斉にメッセージを届ける手法で、アナログマーケティングの一種です。この手法は、ブランド認知度を広く高めたり、大量生産された商品の販売促進に効果的です。特に、全国規模のキャンペーンでは短期間で広範囲にアプローチできるため、大企業や大規模商品展開によく用いられます。
しかし、今日では多くの消費者がインターネットやSNSを利用して情報を得ており、テレビや新聞の視聴・購読者が減少しています。そのため、以前のようにマスメディアに依存した広告展開では十分な効果を得られない場合もあります。また、ターゲットを細かく絞り込むことが難しいため、デジタル手法に比べて広告費用の効率が低くなることが課題です。それでも、高齢者やスマホを持っていない子供世代には、まだ一定の効果を持つ手法です。
マーケティングの役割
マーケティングは、企業が売上を上げるためになくてはならない活動です。マーケティングには、「市場を選ぶ」「市場を見る」「市場に働きかける」という3つの役割があります。
市場を選ぶ
マーケティングの最初のステップは、ターゲットとする市場を慎重に選ぶことです。すべての人に売ろうとするのではなく、限られたリソースを最大限に活かすため、特定の顧客層に絞り込む必要があります。市場調査や競合分析を通じて、市場の規模や成長性、競合他社との違いを明確にし、顧客のニーズに最も合致する市場を見つけます。適切な市場を選ぶことで、予算や人員を効率よく投入し、成功の確率を高めます。
市場を見る
市場を見て理解することは、成功するマーケティング戦略の鍵です。顧客のニーズや問題点、購買行動を把握し、それに基づいて最適な製品やサービスを提供することが求められます。また、市場のトレンドや新たな技術の影響を分析し、変化に柔軟に対応することも重要です。競合他社の動向を観察することで、自社の強みや独自のポジションを見出し、他社との差別化を図ります。市場が変化していないか、その動きを常に見極め、変化に対しては適切な対策を取ります。
市場に働きかける
市場を選び、市場を見たら、いよいよ市場に働きかけます。
市場に働きかける際は、商品やサービスの魅力を顧客に伝えるための工夫が大切です。広告やSNS、口コミなどを通じて、顧客の関心に応えるメッセージを発信し、課題解決を提案します。また、お試しキャンペーンや期間限定のプロモーションを行うことで、実際に商品を体験してもらい、購買意欲を高めます。
市場が予想通りに反応することはまれです。商品の売上が予想以上でも予想以下でも、顧客からのフィードバックを活用して、追加のマーケティング施策を打つことが重要です。
マーケティングの基本フレームワーク
マーケティングを行うときは、フレームワークを使って考えることが重要です。
どうやって売れるようにしていくのかというマーケティング構想が、経営者やプロジェクトリーダーの頭の中だけに留めているだけだったり、口頭で断片的に話すだけでは、社員やパートナーの深い理解や自律的な行動は引き出せません。フレームワークに落とし込むことで、全体感をわかりやすく伝え、チームの目線を揃えます。
また、フレームワークは、構想の抜け漏れや、詰めが甘いところがあったときに気づかせてくれるという役割もあります。
以下では、代表的なフレームワークである4C、4P、SWOT、STP、カスタマージャーニーマップについて詳しく解説します。
4C
4Cは、顧客視点でのマーケティング戦略を考えるフレームワークです。4Cは、Customer(顧客)、Cost(顧客にとってのコスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)を指します。
4Cのフレームワークは、プロダクトの開発・改良に活用されます。顧客が求める価値を理解し、それに応じたコストや利便性を考慮することで、より効果的なマーケティング戦略を立てることが可能です。
4P
4Pは企業視点によるマーケティングの要素を表すフレームワークです。Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素を効果的に組み合わせ、商品を市場に展開します。
4Pのフレームワークは戦略立案に用いられ、製品開発から販売促進まで幅広い領域をカバーします。4Pを適切に組み合わせることで、顧客に対する価値提供を最大化し、競争優位を築くことができます。
SWOT
SWOT分析は企業の内部環境と外部環境を分析するためのフレームワークです。自社のStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)を分析します。
SWOT分析を通じて、企業の現状を把握し、戦略的な意思決定を行うことができます。SWOT分析は、競争環境や市場の変化に対応するための重要な手段であり、企業の成長を促進するための基盤となります。
STP
STPも、マーケティングでよく使われるフレームワークで、Segmentation(市場の細分化)、Targeting(ターゲット選定)、Positioning(市場における位置付け)の頭文字を取ったものです。
市場を細分化し、広告やサイトでどこに自社プロダクトを位置づけるかを明確にするのがその目的です。競合他社との差別化を図り、顧客に対して独自の価値を提供するためのフレームワークがSTPと言えます。
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップは、顧客がプロダクトを認知してから購入し、その後利用を続けるまでステップを可視化するためのフレームワークです。
カスタマージャーニーマップでは、まず、認知、興味、検討、購入、使用、推奨といった、顧客が踏むステップを設定します。そして、各ステップにおいて、顧客がどのように行動し、何を感じるか、そして次のステップに誘導するためにどんな施策を打つかを、これまで得られたデータや市場の声を踏まえて書いていきます。
これにより、企業は顧客との接点や課題を明確にし、各段階で最適なアプローチを設計できます。
マーケティングに対する批判
マーケティングは現代のビジネス世界において不可欠な要素ですが、同時に多くの批判も受けています。消費者の中には、マーケティング活動に対して不信感や不快感を抱く人も少なくありません。主な批判点として、以下の3つが挙げられます。
広告が不快
多くの消費者にとって、広告は日常生活の中で避けられない存在となっています。テレビCM、インターネット広告、街中の看板など、至る所で広告に晒されることで、不快感や煩わしさを感じる人が増えています。特に、ポップアップ広告やスキップできない動画広告などは、ユーザーエクスペリエンスを著しく損なう要因となっています。
なんとなくうさんくさい
マーケティング活動全般に対して、うさんくさいという印象を持つ人も少なくありません。
実際、情報弱者向けの金儲けマニュアルのような情報商材を扱う詐欺師たちのサイトを、昔はたくさん目にしました。彼らは、神田昌典がアメリカから持ち帰ったというマーケティングテクニックやその劣化コピーを使って、人の弱さにつけこむような長文が書かれたランディングページを山のように作り、大量のWEB広告を打っていたという歴史があります。その中身は大抵、あなたも金儲けマニュアルを作って売れば金儲けできるというもので、ネズミ講にも通じる救いようのなさでした。
そもそも、マーケティングという言葉が日本でよく目にするようになったのは2010年代頃からです。それまでは、広告、プロモーション、販促、サイト制作といった、もっと具体的な言葉が使われていました。学校教育でも「マーケティング」という言葉は登場しません。マーケターという職業も昔はありませんでした。
マーケティングについて語るのは、企業にとってはネタばらしのようなものです。顧客の心理を読み、買いたい気持ちを高めるための仕掛けがつまびらかになってしまうと、顧客は企業に心理操作されているように感じますし、ライバル企業にも模倣されてしまいます。パーパスやミッションやビジョンやバリューと比べると、マーケティングについては企業はあまり語りたがりません。
結果、真っ当なマーケティングに関する世の中の理解が深まらず、漠然と金儲けのテクニック的なものとして、マーケティングはうさんくさく感じられるのです。
ステルスマーケティングがなくならない
ステルスマーケティング(ステマ)は、広告であることを明示せずに商品やサービスを宣伝する手法であり、消費者に対する欺瞞と見なされることが多いです。
インフルエンサーによる自然な投稿やレビューに見せかけたPR、さらには偽レビューも、ステルスマーケティングとして批判されることがあります。こうした手法は法律で規制が進んでいるものの、完全になくなることはなく、今でも多くの企業が使っています。
一方、企業の情報発信やメディアへの取材対応、あるいは、誰かが親しくしているお店に好意的な口コミを書くことなども、すべてマーケティングという側面があり、では、それらもよくないことなのかという議論はあります。
社会全体の需要が6兆円も不足していると言われるこの社会で、ステルスマーケティングの要素があるものを全て取り除くことは、さらにモノやサービスが売れなくなり、資本と評判を蓄積した老舗大企業が勝ち続けるだけの一種のディストピアになるでしょう。
それでもマーケティングが重要な理由
マーケティングは、批判されることがあっても、ビジネスの成功に不可欠な要素です。現代において、マーケティングを否定するということは、生活必需品を安価で手に入れることも、ちょっとした楽しみを満喫する豊かさも、仕事をして生活費を稼ぐことも否定するということです。欲しくなるものが売られていない世の中で生き、命を削って誰からも喜ばれないプロダクトを作る日々を肯定するということです。
ここでは、企業にとってなぜマーケティングが重要なのか整理します。
顧客ニーズを深く理解できる
顧客が何を求めているかを理解することはマーケティングの重要な取り組みの一つです。単に商品を売るだけではなく、消費者の声をデータやフィードバックを通じて収集し、そのニーズに応えるプロダクトを提供します。
たとえば、ユーザーインタビューやソーシャルメディアの分析は、顧客が何に困っているのか、どんな価値を重視しているのかを明らかにします。この深い理解が、顧客満足度の向上や長期的な顧客関係の強化に直結します。結果として、顧客が企業を支持し続ける理由を作るのです。
競争優位性を築ける
競争が激化する市場では、単なる価格競争に陥ることなく、他社との差別化を図ることが必要です。しかし、他社と違っても、それが顧客に支持されないなら意味がありません。
ここで重要になるのが、マーケティング戦略です。例えば、マイケル・ポーターが説いた差別化戦略では、ユニークなブランドメッセージやサービスの提供により、顧客にとって選ばれる理由を明確にします。
さらに、マーケティングは競争相手よりも早く顧客のニーズ変化を察知し、柔軟に対応することを可能にします。これにより、他社が追随できない競争優位性を築き、長期的な成長を実現する鍵となるのです。
需要不足という社会課題の解決になる
日本の内閣府の発表によると、2024年1~3月の経済動向は、年換算で8兆円の需要不足でした。需給ギャップは、マイナス1.0%からマイナス1.4%に拡大しました。需要不足は、企業だけでなく社会全体にとっても大きな問題です。経済の停滞や失業問題に直結します。
マーケティングは、需要不足という社会問題に対して、新たな需要を掘り起こす役割を果たします。消費者の深層心理を理解し、デジタル技術を活用したターゲティングや、社会的価値を訴求するブランディングにより、何を生産し、どうすれば売れるかという企業課題に答えを見出します。
需要不足という社会問題を考えると、背景には大量の情報を無料で得て、あえて買うという必然性を見失った私たちの存在があります。現代に必要なのは、そういった市場でも喜んで買ってもらえるための企業努力、つまりマーケティング活動の強化と深化が激しく求められています。
AIを活用したデジタルマーケティングのご依頼ならトガリズムへ
以上、マーケティングとその実情について見てきました。
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