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結果しか見ない人は何を見落としているのか

皆さんの周りには、「結果がすべて」「結果しか見ない」が口癖の人はいないでしょうか。

たしかに、結果だけを追い求める姿勢は、一見合理的で効率的に思えます。しかし、結果しか見ない人は、大切な要素を見落とす可能性がることをご存知でしょうか。

この記事では、どういう人が結果だけに目を向けがちなのかを解説し、そういった人が何を見落としているのか、なぜ結果しか見ないことが問題なのかを考えていきます。

成果を追い求める経営者や、次の成功につなげたい実務者の方にとって、持続的な成長のヒントとなる内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

結果しか見ない人とは

「結果しか見ない人」というのは、目に見える成果や数字ばかりに注目して、現場や実務を知ろうとしない人、軽視する人のことを言います。

こうした考え方は、一見すると組織の役割が明確になっていて効率的に思えますが、実は長期的な成長や新しい発見のチャンスを逃してしまう危険があります。

成功の裏側には必ず試行錯誤や工夫があり、それを把握しないと次につながるヒントを見逃してしまうのです。

結果しか見ない人が多い職種

結果を重視することは多くの職種で求められるスキルですが、そのバランスを誤ると重要なプロセスを見落とすことになります。特に次の3つの職種では、結果ばかりが注目されやすく、そこに潜む問題が目立ちやすくなります。

トップダウン型経営者

トップダウン型経営者は、売上や利益といった数値的な成果を最優先に考える傾向があります。この姿勢は、経営者としての役割を果たす上で必要不可欠なものではあるものの、結果だけに目が行きすぎると問題が生じます。

例えば、従業員が新しい取り組みを提案しても、その取り組みが短期的な売上に直結しないと判断されると採用されないケースがあります。そうすると、従業員は、会社をよくするための社内提案を次第にしなくなり、目の前の与えられた業務ばかりするようになります。

また、業績を上げるために従業員へ過剰なプレッシャーをかけることがあり、その結果、職場のモチベーションが低下することもあります。

伝統的なコンサルタント

情報整理と計画立案しかしない伝統的な意味でのコンサルタントは、期限内にクライアントの求める成果を出すことが仕事の中心です。そのため、提出する資料の完成度やKPIの数値ばかりを重視してしまい、計画の実行が軽視する場合があります。

たとえば、プロジェクトの進行中に、実務を行うクライアント企業の従業員がどれだけ時間を費やし、どんな困難を乗り越える必要があるかといった部分は、伝統的なコンサルタントの目に触れないことが多いです。その結果、プロジェクトの成果が出ても、持続可能性に乏しかったり、現場が疲弊して別の問題の原因になったりします。

デジタルマーケター

デジタルマーケティングは、クリック率やコンバージョン率など、数値で成果を明確に測れる分野です。このため、数値目標を達成することが最優先され、結果だけが評価されやすい職種です。

たとえば、短期的にクリック率を高めるための派手な広告や、すぐに購入を促すような戦術が多用されることがあります。しかし、それによって一時的な成果が出たとしても、ブランドの信頼性や顧客との長期的な関係構築が犠牲になることがあります。

また、データ分析に力を入れすぎるあまり、デザインやコピーライティング、記事の品質などのクリエイティブを軽視するデジタルマーケターは珍しくありません。彼らは「成果が出ないのは商材そのものの市場価値が低いせい」と信じて疑いません。

情報が氾濫する現代において、クリエイティブは、見込み顧客を本当の顧客にするための「第一の商品」とも言うべきものです。クリエイティブという手段の向上なしには、競合他社との優位性は築けず、長期的な成長戦略を描くことが困難になります。

なぜ人は結果しか見なくなるのか

人が結果だけを見るようになる背景には、いくつかの理由があります。

まず、短期間で成果を求められるプレッシャーが挙げられます。特に競争が激しい業界や環境では、成果を急ぐあまりプロセスに目を向ける余裕がなくなることがあります。

また、結果は数字で評価しやすいため、明確で簡単に比較できる指標として重宝されます。一方で、過程や努力は数値化が難しいため、評価が後回しにされがちです。

さらに、成果主義の文化が根付いている職場では、結果のみが評価される仕組みがあるため、従業員も過程を意識しなくなります。このような環境では、プロセスを省いて結果を追求することが当たり前となり、長期的な成長や学びの機会を失うことにつながります。

結果しか見ない人が見落としているもの

成功を追い求める現代社会では、結果至上主義が広がっています。「結果がすべて」という考えは一見合理的に見えるものの、その裏には多くのリスクと見落としが潜んでいます。ここでは、結果しか見ない人が見落としているものを掘り下げてみましょう。

組織能力向上のヒント

結果至上主義の最大の問題は、プロセスを軽視することです。結果を出すには、チームや組織全体の能力を向上させるための基盤づくりが必要です。これには、適切な教育、リソースの分配、そして人材育成が含まれます。しかし、結果しか評価しない文化では、これらの基盤作りが疎かにされることが少なくありません。

例えば、営業部門の結果を厳しく評価するだけでは、部門全体のモチベーションを削ぐ可能性があります。上司が部下にプロセスを確認し、フィードバックをする仕組みを導入することで、組織全体が持続可能な成長を遂げることができます。

費やされた工数

次に見落とされがちなのは、結果を達成するまでに費やされた労力や時間です。結果だけを評価するマネジメントでは、従業員が無理な残業や自己犠牲を強いられるケースが頻発します。このような文化は、最終的に従業員のバーンアウトや離職を招き、組織全体のパフォーマンス低下を引き起こします。

例えば、あるプロジェクトが期限内に成功裏に完了したとしても、その成功の裏で関係者がどれだけの工数を費やしたかを正当に評価しなければなりません。一つの作業が、原因不明のエラーで数時間かかるケースが発生しても、結果しか見ない上司の目には担当者の素質やスキルの問題にしか映りません。

過剰な負荷に対して無頓着でいる組織は、持続可能性を欠いています。

倫理観やコンプライアンス

さらに、結果を追求するあまり、倫理観やコンプライアンスを軽視するケースもあります。短期的には利益を上げる行為が、法的リスクや企業イメージの低下をもたらすことは、過去の数多くのスキャンダルが示しています。

例えば、自動車工事のビジネスでは、悪くなっていない箇所を悪くなっていると言って最初の見積額から大幅に釣り上げたり、手抜き修理をして工数を減らせば、売上は一時的に上がりますが、評判は次第に下がります。結果しか見ない人にとって、評判が下がっていることは見えないため、売上が下がっていることに気づいた時点では、挽回が難しくなります。

結果しか見ないことの問題点

ビジネスにおいて、結果だけに焦点を当てると、プロセスの詳細や背景が無視されがちになることから、様々な問題を引き起こします。以下に、結果しか見ない姿勢がもたらす具体的な問題点を考察します。

分析と改善の精度が上がらない

結果に至るプロセスを軽視することで、どの要因が成功や失敗を引き起こしたのかを正確に把握することができません。

例えば、売上目標を達成した場合でも、その達成が市場の偶発的な変化によるものか、戦略が適切だったためなのか、現場で何からのイノベーションが生まれたからなのかといったことが分からなければ、次の施策を効果的に計画することは困難です。

プロセスを無視するアプローチは、事後分析やフィードバックの機会を奪い、改善のサイクルを弱体化させます。

知見が蓄積されず競合優位性を築けない

高度化した社会では、知見の蓄積が組織の競合優位性を形成する重要な要素です。しかし、結果しか見ない場合、プロジェクトや施策を通じて得られる知見が共有されず、組織全体の学習能力が低下します。成功や失敗の理由が曖昧なままとなり、同じ失敗を繰り返すか、成功を一過性のものとして終わらせてしまう可能性が高まります。

組織は、個々の成功体験や失敗からの学びを共有し、それをもとに戦略を進化させることで、競争環境の中で持続的な優位性を確立することができます。このプロセスを無視することは、競合他社に対して脆弱になることを意味します。

成功を再現できない

一度成功したとしても、その背景にある要因が明確でなければ、それを再現することはほぼ不可能です。成功が、努力や志の高さといった精神力の産物として扱われてしまえば、次に再現することは困難です。これでは、事業やプロジェクトが一時的に良い結果を出したとしても、その後の展開が運任せになってしまい、長期的な安定や成長は期待できません。

一度の成功を、再現性のあるものにするには、プロセスや背景にあるデータを細かく分析し、成功の構造を理解する必要があります。

「結果しか見ない人」から「プロセスも見る人」に変わるには

結果だけを見ることの問題点が整理できたところで、では、結果だけを見るのではなく、プロセスも見るようになるにはどうすればよいのでしょうか。

それには、「なぜその結果が生まれたのか」を考える習慣をつけることです。結果は目に見えやすいですが、その裏にある行動や工夫を理解しなければ、同じ失敗を繰り返したり、成功を再現することが難しくなります。

まず、仕事やプロジェクトが終わったあと、「どんな過程でこの結果になったのか」をメンバーで話し合う場を作るとよいでしょう。成功しても失敗しても、その背景にある流れや方法を知ることが、次の行動につながります。

また、どのように進めたかを記録しておくことも役立ちます。「誰が何をしたか」「どんな工夫をしたか」を書き留めておくことで、あとから見返して学べるからです。

プロセスを見るようになると、ただ結果を追うよりも次に活かせるヒントがたくさん見つかります。成長を続けるための大切な考え方です。

プロセスを重視したデジタルマーケティングならトガリズムへ

以上、結果しか見ない人が結果しか見ない理由や、どんな問題を引き起こすかを見てきました。結果に至る過程を振り返り、プロセスを意識することで、持続的な成長と成功が可能になります。

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