COLUMN

なぜインタビュー記事はマーケティングに効くのか

デジタルマーケティングの仕事をしていると、「商品やサービスの魅力を発信しているのに、なかなかうまく伝わらない」という相談をよく受けます。――そうした悩みの本質は、実は企業自身もはっきり理解できていないケースが少なくありません。「インターネットでは、どうすれば売れるのか」「今やっている取り組みで成果が出ない原因がわからない」といった疑問を抱える経営者に、有効な方法があります。

それは、経営者が記者からインタビューを受けて自らのリアルな半生をストーリーとして語り、記事化することです。

この記事では、優れたインタビュー記事が、ストーリーの力で企業の強みや価値観をに伝え、深い共感を生み出す仕組みを解説します。

価格競争から脱却し、選ばれる企業になるような効果抜群のインタビューのポイントも詳しく紹介しますので、企業経営者や広報、マーケティング担当の方は参考にしてみてください。

音声解説:なぜインタビュー記事はマーケティングに効くのか

ストーリーが読者の心を動かす理由

私たちは幼い頃から物語とともに成長してきました。絵本やアニメ、偉人の伝記、映画や小説。物語は感情に強く働きかけ、記憶に深く残り、人の行動を促します。

円周率のような無機質な数字の羅列を覚えるのはたった10桁でも難しいですが、数字10桁よりもはるかに長い桃太郎の昔話は誰でも自然に覚え、語ることができます。なぜなら、ストーリーには登場人物の魅力、普遍的なテーマ、感情を揺さぶる要素があるからです。人間は本質的にストーリーを楽しみ、ストーリーを記憶する生き物なのです。

マーケティングにおいても、ストーリーは重要です。優れたストーリーは潜在顧客の注目を引き、心を動かし、選ばれる理由になります。さらに、顧客が企業の価値を深く理解し、強く共感することでファン化を促進します。

インタビュー記事がマーケティング効果を発揮するプロセス

インタビュー記事は、昔から行われている情報発信の手法ですが、現代でも潜在顧客の心を動かし、具体的な行動を促す強力なマーケティングコンテンツになります。

優れたインタビュー記事は、①疑似体験、②共感、③信頼、④購入/問い合わせ、⑤口コミという5つのステップを通じて、ビジネスの成長に貢献します。ここでは、それぞれのステップを具体的に見ていきましょう。

1. 疑似体験

企業やその代表が自身の苦難や挑戦、成功に至るプロセスを具体的なエピソードとして語ると、読者はその出来事をまるで自分自身が実際に体験しているかのように感じます。これが「疑似体験」という心理的な現象です。

商品やサービスの特徴を並べた文章だけでは、読者の印象に残らず、流し読みされて終わってしまいます。多くの類似品との違いが伝わらず、価格勝負になりがちです。

一方、読者を物語の主人公の視点に引き込み、その経験を疑似体験できるストーリーは違います。

たとえば、何年も資金繰りが苦しく、眠れない夜を過ごした社長のエピソードを読めば、読者自身も心配や焦りを覚えます。逆に、苦労が報われた瞬間を読めば、読者は自分のことのように安堵感や嬉しさがじわりと広がります。

読者がこのような疑似体験をすると、その企業の商品やサービスがストーリーとともに記憶に深く刻まれるのです。

2. 共感

疑似体験をした読者は、企業の代表が経験した感情に共鳴します。「この人も同じような悩みを抱えていたんだ」「こういう経験をした人なんだ」と、自分自身の記憶と重ね合わせて共感します。

この段階では、読者は経営者や企業への親近感や理解を深めます。共感が起きることで、経営者や企業に対する心理的な距離が縮まり、興味や好感が生まれます。

マーケティング効果の高いインタビュー記事には、いくつものエピソードが盛り込まれていて、読者はエピソード一つ一つに共感を感じ、共感が積み重なる構成になっています。

3. 信頼

共感が何度も積み重なることで、たった一つのインタビュー記事を読み終える頃には、読者はその企業に対して強い信頼感を抱くようになります。他のマーケティング施策では、一発でこのような信頼を獲得することはなかなかできません。

共感を通じて相手を理解すると、味方や仲間のように感じるようになります。心理学の分野では、このプロセスを「類似性の法則」と呼びます。

読者は、経営者が語る経験や感情を通じて、その企業を「よく知っている身近な存在」として認識するようになり、強固な信頼が生まれます。

4. 購入/問い合わせ

強い信頼感が生まれると、読者はその企業の商品やサービスを具体的に「試してみたい」「詳しく話を聞いてみたい」という思いが強まり、行動に移します。信頼感があれば、価格やスペックだけの比較を超えて、企業そのものに価値を感じて選びたくなります。

優れたインタビュー記事は、この信頼感をもとに購買や問い合わせといった成果を生み出します。

5. 口コミ

よく作り込まれたインタビュー記事を読んだ読者は、購入や契約に至るだけではありません。その後で、商品やサービスのこと、ストーリーのことを周囲に発信してくれる可能性が高くなります。

自分が体験した商品やサービスは、印象的な企業ストーリーが合わさることで、家族や友人、インターネットでつながっている人たちに伝えたい話のネタとなります。映画や漫画を見て感動すると、それを誰かに語りたくなるのとちょうど同じです。

読者の口コミを通じて、企業のストーリーは自然に広がり、マーケティング効果を発揮するようになります。

価格競争から脱却し、ブランドとして選ばれるために

今日では、単に商品やサービスの性能や価格で競合と競うだけでは限界があります。「なぜこの会社なのか」「誰がどのような想いでやっているのか」が重要になっているのです。

このことは複数の調査でも裏付けられています。

例えば、ワシントン大学セントルイス校のバウアー・リーダーシップ・センターが、ブランド測定会社と共同で実施した2021年の調査報告によると、消費者の55%が、以前よりもブランドの価値観に注意を払うようになったと回答しました。

また、2021年のマッキンゼー・アンド・カンパニーによる1000人以上の規模の調査報告では、72%の回答者が「企業の目的は利益よりも重視されるべきである」と考えていることが明らかになりました。

企業の理念や背景、提供する人の想いを明確に伝えることは、単なる価格競争から脱却し、顧客に選ばれ続けるために極めて重要な戦略になっているのです。

特に、企業代表者のストーリーには、ブランドとしての価値を伝える力があります。インタビュー記事なら、企業代表者のストーリーを効果的に届け、選ばれるブランド企業へと成長することができるのです。

マーケティング効果を最大化するトガリズムのインタビュー記事制作

インタビュー記事を作ること自体は、難しいことではありません。いくつかの質問を用意して、インタビュー対象者に回答してもらえれば、一応記事にはなります。それを生成AIに投げれば、さらにそれらしいものができてしまいます。

しかし、マーケティングの効果を発揮するインタビュー記事を作るには、多くの技術と実践経験が必要です。

トガリズムでは、インタビューの質を高めるために、深掘り取材を徹底しています。事前に準備した質問を形式的に投げかけるだけではなく、ビジネスメディアの取材記者が、読者目線で対象者に質問をぶつけることで、感情が動くストーリーを引き出します。これにより、企業が伝えたい理念やこだわりが、リアルなストーリーとして読み手に自然に響くのです。

インタビュー後の書き起こしやラフ原稿の作成は、プロフェッショナル性能のAIを使って効率化を図りつつも、最後は現役の小説家や小説編集者が丁寧にリライト編集を行います。この工程によって、思わず夢中で読み進めてしまう面白いストーリーに仕上がります。企業の伝えたい情報が読み手の記憶に深く刻まれ、共感や信頼を生み出します。

そして、記事を作ったら終わりではありません。制作したインタビュー記事をどのように見込み顧客に届けるかまでを設計します。SEO対策によって長期的な集客を狙ったり、WEB広告によって顧客になる可能性の高い人たちに集中的に届けたりと、デジタルマーケティング企業ならではの視点を持って戦略的に記事を活用することも可能です。記事をシリーズ化してサイト内の回遊性を高める施策など、多角的な展開にも対応します。

結局のところ、人は論理ではなく感情で動く生き物です。特に日本の市場でビジネスをする場合、消費者や企業が求めているのは安心と信頼です。性能や価格が良くても、聞いたことのない企業には簡単に手を出しません。感情に訴え、信頼関係を築き、じっくりと信じてもらうプロセスが不可欠です。

トガリズムのインタビュー記事は、創業者の志や企業成長の軌跡、困難の克服といった人間味あふれる物語を通じて、企業と顧客との間に揺るぎない絆を築きます。まだストーリーがはっきりした形になっていない企業でも、取材によってエピソードを引き出し、それらをドラマティックな一本の物語へと紡ぎます。単なる文字の連続ではなく、企業のブランド価値を高めるコンテンツとして、企画・構成から発信設計までお手伝いいたします。

下記では、トガリズムの取材・インタビュー記事サービスについてAIポッドキャストの音声にてわかりやすく解説していますので、ぜひお聴きください。

詳しいサービス内容は下記のページにまとめています。

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