COLUMN

SEO対策は意味がない理由と、それでもSEOは滅びないという話

「SEOって、もう意味ないですよね」

そんな声を耳にすることが増えました。実際、かつてのように「検索順位を上げればサイトに人が来る」という時代は終わりつつあります。

しかし、それでもSEOが完全に消えることはありません。今回は、なぜSEO対策が時代遅れになりつつあるのか、そしてそれでもSEOがなぜ生き残り続けるのかを、わかりやすく整理してお伝えします。

SEOはもう死んでいる理由

出典:北斗の拳

かつて多くの企業が熱心に取り組んできたSEO対策は、現在その有効性を失いつつあります。「上位表示=集客増」という単純な図式は崩れ、企業はSEO対策に投じるべきリソースの再考を迫られています。以下では、SEOがもはや無意味と言わざるを得なくなりつつある具体的な理由を掘り下げていきます。

Googleトレンドで「SEO」の語の数値はピーク時より60%も落ちている

Googleトレンドのデータを元にトガリズムにて集計

「SEO」という言葉そのものの人気が、すでに過去のものとなりつつあります。

Googleが提供する検索傾向の分析ツール「Googleトレンド」で調べると、「SEO」というキーワードの数値(「人気度」)は、最も多かった2009年に比べて2024年は約60%も減っています。これは一時的なことではなく、2012年以降のほとんどの年で2009年の約40%と停滞しています。

これは、人々の興味や注目が、明らかにSEO以外のものへと移っている証拠です。

2009年頃は、ブログを書いたり、商品を売る人たちがこぞってSEOに取り組んでいました。しかし今は他の方法でのマーケティングに舵を切っています。

実際、「SEO オワコン」というキーワードでGoogle検索された回数は、2025年4月までの過去1年間で、約1,680回に登っています。

SEO上位のページに求めている情報が載っていない

検索の上の方に出てくるページをクリックしてどんなにスクロールしても、知りたいことが書かれていなかった経験はないでしょうか。

多くのSEO対策ページは、検索で上位になることを優先して、内容を後回しにしているのです。

インターネットユーザーの間でも以前より検索体験が悪くなったと考えている人はたくさんいます。

たとえば、2024年5月にTogetterにまとめられてバズった記事『Googleの検索アルゴリズムの内部資料が漏洩か?「SEO業界で長年疑われていたものが明らかに」』に寄せられているコメントを見ると、

「行き過ぎたSEO対策が検索エンジンをどんどんゴミにしていったって印象しかない」

「SEOってほんとくだらねえなぁ こんな業界で働くのは辛いだろうなぁ」

といった声が散見されます。

また、1ヶ月のページビューが約5044万を誇るWEBメディアGigazineは2025年2月に『ほぼ半数の人は「Googleや検索エンジンはあまり役に立たなくなってきている」と感じている』と題する記事を掲載。この記事によると、アメリカに住む2000人以上の成人を対象とした調査で、42%の人が「Googleや検索エンジンの有用性が低下している」と回答。

このように、検索上位=有益な情報 という前提はすでに崩れています。本来便利であるはずの検索エンジンが、むしろ時間のムダと感じられてしまっているのです。

SEO対策されたページは信用できない

検索の上位に出てくる情報が、必ずしも正しいとは限らなくなってきました。なぜなら、それらの多くは、検索順位を上げるために書かれた文章だからです。

「◯◯におすすめの10選」「△△を選ぶポイント3つ」など、一見すると役立ちそうなまとめ記事。しかし、その中身は企業が自社商品を売るためのものであったり、アフィリエイト収入を得るためだけに作られた内容だったりします。こうなると、検索上位だからといって、安心して信じることができません。

さらに、SEO上位ページをクリックして読んでいる時に、ポップアップや広告が山ほど出てきて邪魔をしてきます。いかがわしい広告が掲載されて、それを消すボタンが押しにくく、いかがわしいサイトにアクセスしてしまう場合もあります。

こういった体験を押し付けるページは、必ずしもSEO上位のページだけではありません。しかし、検索ユーザーがそういったサイトの運営元のことを「誠実ではない」と認識する充分な理由になります。

知らないことはみんなAIを使って調べるようになった

最近では、知らないことがあればGoogleではなく、生成AIに直接質問する人が増えています。アプリの情報を分析するAppfiguresによると、ChatGPTのスマートフォン用アプリは、2025年3月のダウンロード数は世界一になりました。

わざわざ何ページも開いて、求めている情報がどこに書かれているかを探すより、AIに一言聞いたほうが速いし、わかりやすい。そんな感覚が当たり前になってきているのです。

生成AIの登場により、「検索してページを見る」という行動そのものが減りつつあることは疑いようがありません。SEOで順位を上げても、検索する人がいなければ意味がないということです。

検索結果にAIによる回答が先に出てくるようになった

前述した生成AIの登場に関連して、最近では、検索エンジンの検索結果そのものが変わってきました。キーワードを入力すると、検索結果の一番上にAIが要約した答えが出てきて、その下に広告、そしてようやくSEO上位ページが並ぶようになっています。

これは、Google検索ではAI Overview(AIによる概要(旧称 SGE))、Bing検索ではBing Generative SearchとよばれるAI機能です。

ユーザーからすれば、そこで答えがわかれば、それで十分。わざわざSEO対策されたページを見に行く理由がなくなってしまったのです。

それでもSEOは滅びないのはなぜか

出典:天空の城ラピュタ

ここまで、SEOがオワコン化しているという現実について解説してきました。しかし、企業やクリエイターが検索エンジン上で見つけてもらう必要性がゼロになったわけではありません。

SEOは滅びないとすると、それはなぜなのか。その根拠を5つの視点で見ていきます。

Googleトレンドの数値は全検索数に対する相対値でしかない

前述では、Googleトレンドでキーワード「SEO」の人気度が下がっていると指摘しましたが、真実をつかむには、ややこしい説明が必要です。

Googleトレンドの数値が下がったからといって「検索ニーズが減った」とは言えない場合があるのです。

Googleトレンドで示される「人気度」とは、対象期間・対象地域の全検索数を分母として相対化した数値であり、全検索数が拡大すれば、そのキーワードの検索数は変わらなくても人気度は下がる現象が起きます。

これが「SEOはもう死んでいる」論がしばしば見当違いになる理由の一つです。

「SEO」の語はいまだに毎月5万回も検索されている

「SEO」の語の月間検索回数推移(Google広告キーワードプランナーより)

2025年4月にGoogle広告内のツール「キーワードプランナー」で確認したところ、キーワード「SEO」の過去1年間の月間平均検索数は、日本だけで約5万回、世界全体では100万回もあることがわかります。

ツールによって若干のブレはありますが、単語一語でこれだけの検索が続く業界用語はむしろ稀少です。トレンド指標が緩やかに下がって見えても、SEOは依然として巨大なマーケットであることを示しています。

検索ユーザーが増え、検索スキルが低い人も増えた

Statista のログ解析によると、2024年3月に人々がGoogle.comに訪問した回数は、約855億回となっています。Google.comへの訪問数は2010年代後半から現在まで右肩上がりで、検索エンジンがいまだに情報取得の巨大な入口である現実を示しています。​

検索人口が拡大するということは、テクノロジーが好きだったり業務で使っている人たちの割合が多かった時代から比べて、テクノロジーに疎い人たちもインターネット検索をするようになるということです。全体として、ユーザーの検索スキルの平均値は下がっているのです。

検索スキルが低い人は、
・キーワードが具体的でない(例:症状や状況を足さずに「パソコン 遅い」とだけ入力する)
・1ワードで検索する(状況や要望に関する追加語を入れない)
・検索最上部のページに答えがないと強い不満を抱く
といった傾向が強いです。

こうした検索の仕方では、求めている情報にはなかなか届きません。これは、検索エンジンやSEOの問題ではないのです。

検索広告をSEOだと誤解している人が増えた

業務用SaaS大手のHubSpotの記事では、Webユーザーの46%が広告とSEO上位ページのリンクを区別できないとされています。

実際、検索広告(リスティング広告)は検索結果画面の上部に配置され、見た目もSEO上位ページとほとんど変わりません。

この見分けづらさは、検索エンジンのデザイン変更によって年々強まっています。かつてはGoogle検索広告と自然検索結果の間に明確な視覚的区別がありましたが、現在は「広告」という小さなラベルのみで区別されており、その色も目立たないように設計されています。

検索広告の着地ページの内容が売り込み要素満載なのは当然です。企業はクリック単価を支払って広告を出しているわけですから、できるだけ早く購入や申し込みに結びつけたいと考えています。一方、SEO上位のコンテンツは、より情報提供に重点を置き、ユーザーの疑問に答える傾向があります。

また、検索広告では競争入札で高いお金を出せる企業が上に表示されるため、ユーザーの検索意図からずれていることが多々あります。予算の大きい企業が、必ずしもユーザーにとって最適な情報を提供するとは限りません。

本当のSEO上位ページは、検索エンジンのアルゴリズムがユーザーの意図に合った質の高いコンテンツであると判定したページですが、検索広告もSEO上位ページであると誤解されれば、「SEOは検索体験を悪くする元凶!けしからん」という誤った認識も広まることになります。

一方、検索リテラシーの高い人や、企業の意思決定に関わるような一流のビジネスパーソンは、上部の検索広告ではなく、その下のSEO上位ページを信頼して読む傾向があります。彼らは、お金を払って上位に来ている広告よりも、コンテンツの質で評価されている自然検索結果の方が信頼できると理解しています。このような層に訴求するためには、SEO対策による質の高いコンテンツ制作が依然として必要不可欠なのです。

AIの回答も結局検索上位のページを参照している

ChatGPTやClaudeなどの生成AIが情報源としているのは、主にインターネット上の公開情報です。これらAIが学習するデータには、検索エンジンで上位表示されているページが多く含まれています。

SEO上位のページは多くのユーザーに読まれ、リンクされ、信頼性が高いと判断されているからです。

そのため、AIが回答を生成する際、検索エンジンで高評価を得ているページの情報が優先的に参照される傾向があります。AIは独自の「オリジナル情報」を持っているわけではなく、既存の情報を再構成しているにすぎません。

たとえば、ChatGPTに「中目黒のおすすめのカフェを3つ挙げて」と聞けば、Google検索で「中目黒 カフェ おすすめ」と検索したときに上に出てくるカフェや、上に出てくる紹介記事で取り上げられているカフェとだいたい同じお店を回答します。

つまり、AIが普及しても、検索エンジン上位に表示される質の高いコンテンツを作成する重要性は変わりません。むしろ、AIが自社に関して肯定的な情報を答えるようにするには、SEO対策をした専門性の高いページを制作することは今後も不可欠です。AIの台頭はSEOの終焉ではなく、その重要性をさらに高めている側面があるのです。

SEO業者が言う「SEOは滅びない」はポジショントーク

SEO業界に身を置く人たちが「SEOは今後も重要であり続ける」と主張するのは、ある意味当然のポジショントークです。自分たちのビジネスの存続をかけた発言であり、客観的な事実とは言い難い側面があります。

SEO会社やコンサルタントは、クライアントに「SEOへの投資が無駄になる可能性」を伝えることはほとんどありません。むしろ、Googleのアルゴリズム変更やAIの台頭を「だからこそSEO対策が重要になる」と言い換え、サービスの必要性を強調します。

しかし、このポジショントークにも一定の真実があります。検索エンジンが存在し、膨大な数のユーザーがまだまだいる2025年現在、SEOの仕組みを理解し活用する技術は必要とされるからです。SEOの重要度がピーク時より下がったとはいえ、ユーザーに価値ある情報を届け、ブランドを認知してもらい、信頼感を抱いてもらい、問い合わせや購入といった行動につなげる、というデジタルマーケティングの本質は変わりません。

私たちは、SEO業者の主張をすべて鵜呑みにすることなく、自社のビジネス目標に照らして必要な対策を見極めることが重要です。SEOは滅びないかもしれませんが、その形態は常に進化し続けているのです。

おわりに

今回は「SEOはもう意味がないのか?それでもなぜ滅びないのか?」といった、一見すると矛盾するテーマを、大手企業から中小企業まで、1万以上のSEO対策をやってきたデジタルマーケティングエージェントの目線で整理し、ポジショントークに偏らないフラットな視点でお届けしました。

「SEOはもう死んだ」という話は、「ロックはもう死んだ」と言われ続けながらも、それでもロックミュージックが消えずに愛され続けている状況とどこか似ています。

SEOも、これからも「終わった」と言われ続けていくことでしょう。しかし、その度に形を変えて社会に深く根づいていくのかもしれません。

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