強いマーケティングチームを組織する!仕事内容や作り方を解説
企業のマーケティングはかつてより複雑・高度化し、現代では、一人ですべての施策を担うことはできなくなってきました。マーケティングはチームで行うことになります。しかし、複数人が関わると、役割分担や連携といったところで課題を抱えるケースも多くなります。
この記事では、マーケティングチームの仕事内容や主な役割、作り方をを解説します。よく起こる問題への対策や、成果を生むための条件も紹介するので、自社の体制を見直す際にお役立てください。
マーケティングチームとは
マーケティングチームとは、顧客に選ばれる仕組みをつくり、売上や継続利用などの事業目標につなげる組織です。市場や顧客を理解したうえで、誰にどのような価値を届けるかを決め、複数の施策を連動させます。
活動範囲は、広告やSNSの運用から、商品企画、営業、カスタマーサクセスとの連携まで広がります。顧客が商品を知ってから購入し、利用を続けるまでの体験を一貫して整えるためです。小規模な企業で一人が複数の仕事を担う場合も、役割と責任を整理すると連携しやすくなります。
マーケティングチームの仕事内容
マーケティングチームの仕事は、戦略を立て、施策を実行し、結果を分析して改善する流れで進みます。戦略で定めた顧客と提供価値を、実行する施策と評価指標へ一貫して反映し、分析で得た学びを次の戦略へ戻すことが重要です。
マーケティング戦略を立てる

マーケティング戦略とは、事業目標を達成するために、誰へ、どのような価値を、どの経路で届けるかを定める方針です。市場、顧客、競合、自社の強みを整理して狙う顧客を明確にし、チャネル、予算、優先順位、KPIを決めます。この戦略があることで、SEO、広告、SNSなどの施策を同じ目的へつなげられます。
施策を実行・管理する

戦略をSEO、広告、SNS、メール、イベント、Webサイト改善などの具体的な施策へ落とし込みます。担当者、期限、予算、品質基準を設定し、進捗を管理します。営業や商品部門との調整も行い、顧客への伝え方が施策ごとに食い違わないようにします。
効果を分析して改善する

施策の評価では、表示回数やクリック数に加え、問い合わせ、商談、購入、継続利用までを確認します。目標との差が生まれた工程を特定し、訴求、対象、導線、予算配分などに分けて改善案を立てます。検証結果を次の戦略と施策へ戻すことで、チームの判断精度が高まります。
マーケティングチームの重要性

マーケティングチームが重要なのは、顧客へのメッセージをそろえ、複数の施策を売上までつなげられるからです。Webサイトでは価格を訴求し、広告では品質を訴求するなど、接点ごとに説明が異なると、顧客は商品の価値を判断しにくくなります。比較の途中で離脱したり、購入後に期待とのずれが生まれたりする原因にもなります。共通の戦略と目標を持つチームは、各接点を一貫した顧客体験として設計できます。
チーム化は、施策の再現性も高めます。仕事が特定の担当者に属人化すると、その人の異動や退職で施策が止まり、過去と同じ失敗を繰り返しやすくなります。施策の目的、判断、結果を共通の形式で記録し、複数人が確認できる体制にすれば、引き継ぎと改善を継続できます。判断のスピードと成果の安定性を保つうえでも、組織として知見を蓄積することが重要です。
マーケティングチームの主なメンバーと必要スキル
マーケティングチームは、どのような役割のメンバーで構成すればよいのでしょうか。ここでは、9種類の役割と、それぞれに必要なスキルを解説します。
マーケティング責任者(CMO・マーケティング部長)

マーケティング責任者は、経営方針とマーケティング活動を結びつける役割です。小規模な事業では、社長がこの役割を担います。目標、予算、優先順位を決め、最終的な成果に責任を持ちます。事業を俯瞰する戦略思考に加え、財務感覚、意思決定力、リーダーシップが求められます。
マーケティングマネージャー

マーケティングマネージャーは、戦略を実行可能な計画へ変え、チームを動かします。専門人材が社内に不足している場合は、社外のコンサルタントやマーケターを起用する方法もあります。メンバーのアサイン、担当の割り振り、進捗管理、部門間の調整、KPIの確認が主な仕事です。プロジェクト管理力とコミュニケーション力が成果を左右します。
コンテンツマーケティング担当

コンテンツマーケティング担当は、サイト記事、導入事例、ホワイトペーパー、動画、SNS投稿などを企画・制作し、顧客の理解や検討を後押しします。必要なのは、顧客の疑問を捉える力、情報を整理する編集力、分かりやすく伝える文章力です。制作後の反応を分析し、次の企画へ生かす視点も求められます。
SEO担当

SEO担当は、検索ニーズを調査し、必要な情報を検索ユーザーへ届ける仕組みを整えます。自社の顧客になり得る人が検索するキーワードを定義し、記事、サイト構造、内部リンク、表示速度、競合動向を確認してサイトを改善します。検索データを読み解く力、文章力、HTMLの基礎知識が必要です。
Web広告担当

Web広告担当は、検索広告やディスプレイ広告を使い、適切な顧客へ訴求を届けます。Google広告、Yahoo!広告、Meta広告に加え、Webメディアや専門情報サイトへの出稿を担うこともあります。アカウント開設、ターゲット設定、予算管理、クリエイティブの検証、コンバージョン計測を行うため、媒体への理解、分析力、コピーライティングのスキルが求められます。
SNSマーケティング担当

SNSマーケティング担当は、投稿の企画・運用やユーザーとの交流を通じて、認知と信頼を育てます。SNSのDMから直接問い合わせが寄せられることもあります。売り込み中心の発信は継続して見てもらいにくいため、自社の製品や活動を、ユーザーに喜ばれる表現へ翻訳することが重要です。各SNSの特性を理解する力、反応を読み取る力、炎上を防ぐコンプライアンス感覚が必要です。
CRM・メールマーケティング担当

CRM・メールマーケティング担当は、既存顧客や、連絡先を把握している見込み顧客へ、状況に合ったメッセージを届けます。メルマガツール、MAツール、メール機能を備えたCRMツールなどを使います。日々蓄積される顧客情報を利用できる状態に整理・分類し、親和性の高い顧客へ案内を配信するため、顧客理解、シナリオ設計、文章作成、データ管理の力が必要です。
データ分析担当

データ分析担当は、施策の結果を集計し、意思決定に使える形へ変えます。指標の定義をそろえ、計測環境やダッシュボードを整え、変化の要因を探ります。BIツールで主要なKPIをリアルタイムに共有すると、意思決定と認識共有を速められます。分析技術に加えて、数字の意味を関係者へ分かりやすく説明する力も大切です。
Web・クリエイティブ担当

Web・クリエイティブ担当は、Webサイト、LP、バナーなどの制作を担います。見た目の魅力とともに、顧客が迷わず情報を理解し、行動できる設計が重要です。デザイン、コピー、ユーザビリティ、実装への理解が役立ちます。
マーケティングチームの作り方

チームづくりは、達成したい事業目標を出発点にします。目標までに必要な仕事を洗い出し、社内外の分担と意思決定の方法を決めれば、少人数でも機能する体制をつくれます。次の三段階で具体化しましょう。
必要な役割と業務を整理する
まず、顧客が商品を知り、比較し、購入し、利用を続けるまでに必要な業務を並べます。次に、事業への影響と緊急度で優先順位を付けます。現在不足している機能を明らかにし、その機能を担う役割と必要なスキルを決めましょう。
社内人材と外部人材の分担を決める
事業戦略、顧客情報、最終判断など、自社に蓄積すべき機能は社内が担うのが基本です。SEO、広告、コンテンツ制作など、専門性が高く業務量が変動する領域では外部人材を活用できます。依頼の目的、評価基準、成果の責任者を社内で明確にし、得られた知見も自社へ蓄積します。外部との窓口が増えるほど情報共有の負担も高まるため、複数領域を支援できる人材や企業へ窓口を集約する方法も有効です。
目標と意思決定のルールを決める
売上などの最終目標と、そこへ至る途中のKPIを決めます。さらに、誰が提案し、誰が決定し、どの金額や変更から承認が必要かを明文化します。会議の頻度や報告形式もそろえると、確認待ちによる停滞を減らせます。
マーケティングチームのタイプ

適したマーケティングチームの形は、事業数、商品数、必要な専門性、社内の人材によって変わります。代表的な三つのタイプを理解し、自社の成長段階と優先課題に合わせて選びましょう。
機能別に担当を分ける組織
SEO、広告、SNS、コンテンツ、分析など、専門機能ごとに担当を分ける形です。専門性を深め、知識やノウハウを蓄積しやすく、品質も標準化できます。担当間をつなぐために、共通KPIと全体を統括する責任者を置きましょう。
商品・事業ごとに担当を分ける組織
商品や事業ごとに担当チームを置き、戦略から実行までを一貫して進める形です。顧客や市場の変化へ素早く対応できます。各チームでツールや制作業務が重複する場合は、共通業務を横断組織で支えると効率的です。
社内と外部人材を組み合わせる組織
社内の責任者やマネージャーを中心に、必要な領域で外部の専門家や制作会社と組む形です。専門スキルを必要な時期に補えるため、立ち上げや施策の強化を速められます。役割、情報共有、データの管理方法を事前に決め、最終判断と知見を社内へ集約します。
マーケティングチームでよく起こる問題とその対策

マーケティングチームの課題は、役割や目標、連携方法の設計に表れます。よくある状態を早めに把握し、仕組みを整えることで、手戻りや対立を減らし、顧客への価値提供に集中できます。
担当ごとに施策が分断される

担当ごとに施策が分断されると、各担当が自部門の数字だけを最適化し、売上までの流れが途切れます。たとえば、SEO担当が流入数、広告担当が問い合わせ数だけを増やしても、営業が求める顧客像と合わなければ商談へ進みません。営業が得た失注理由も施策側へ戻らず、同じ訴求へ予算を使い続けることになります。顧客には接点ごとに異なる説明が届き、社内では成果の責任が曖昧になります。
対策は、認知から購入までの顧客の流れを可視化し、売上や有効商談数などの共通目標を置くことです。部門間の引き渡し条件、施策カレンダー、責任者を決め、定例会では次の工程へ進んだ割合と停滞理由を確認します。営業の現場で得た質問や失注理由を、広告の訴求や記事の改善へ戻す循環もつくりましょう。
役割や責任の所在が曖昧になる

役割や責任が曖昧な状態では、判断待ちや重複作業が生まれます。業務ごとに最終責任者を一人決め、実行担当、相談先、共有先を役割表へ整理しましょう。体制や業務が変わったときに役割表も更新すれば、次に動く人が明確になります。
施策の実行が目的化してしまう

施策は、記事の本数や投稿回数ではなく、事業目標への貢献で評価します。各施策がどのKPIを動かすかを明確にし、継続、改善、中止の判断基準を決めましょう。実施後の振り返りで結果と要因を整理し、次の行動まで決めると、成果へつながる運用になります。
マーケティングチームの業務を効率化するツール
ツールは、情報を探す時間、進捗の行き違い、繰り返し作業を減らすために使います。業務手順と管理する情報を整理したうえで、用途に合うものを選びましょう。正式な情報を保管する場所も決めると、複数のツールを使っても迷いにくくなります。
タスク・プロジェクト管理ツール

タスク・プロジェクト管理ツールでは、施策をプロジェクト単位に分け、担当者、期限、ステータス、サブタスク、関連資料を管理します。依存するタスクや承認待ちを可視化すると、次に誰が動くかを把握でき、遅延の原因も見つけやすくなります。
Notionは、企画書や議事録とタスクのデータベースをつなげて管理したい場合に便利です。Backlog、Asana、Trelloは、プロジェクトごとにタスクを整理し、ボードや一覧で進捗を追う運用に向きます。選定後は、タスク名、期限、担当者、ステータスの入力ルールをそろえ、会議でも同じ画面を更新しましょう。
コミュニケーション・情報共有ツール

SlackやChatWork、Microsoft Teamsなどのチャットは、短い質問、当日の連絡、緊急度の高い調整に使います。タスクに関する依頼や決定はNotion、Backlog、Asanaなどの該当プロジェクトを使うようにしなけば、情報が錯綜し、何が決定でどのファイルが最新版なのか追いきれなくなります。
Google DriveやOneDriveは、企画書、画像、レポートなどの共有ファイルを保管します。メールは、取引先への正式な依頼、納品、承認など、社外との記録を残したい場面に適しています。情報の種類ごとに保管先を決めると、チャットの履歴を探し続ける時間を減らせます。
ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議ツールは、遠隔でも相手の表情や声を確認しながら、対面に近い形で意見交換できることが特徴です。画面共有を使えば、資料や数値、制作物を同時に見ながら認識をそろえられます。録画や自動文字起こしを活用すると、不参加者への共有や議事録作成も容易です。
AI・マーケティング支援ツール

ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIは、検索ニーズの整理、記事構成、文章の下書き、広告文の案出し、会議内容の要約に活用できます。CanvaやAdobe Expressは、バナーやSNS画像などの制作を支援します。GA4やGoogle Search Consoleで得たデータを施策の振り返りに使えば、コンテンツの改善点も具体化できます。
公開前には、人が事実関係、表現、ブランドとの整合性を確認します。機密情報や個人情報の入力範囲、著作権、承認手順を社内ルールとして定め、AIは担当者の判断と制作を支える道具として運用しましょう。
マーケティングチームが成果を生む条件
強いマーケティングチームの在り方とはどのようなものなのでしょうか。次の三つを日常の運営へ組み込みましょう。
チーム全体で目標とKPIを共有する

最終目標と主要なKPIを絞り、指標の意味、計算方法、参照するデータを統一します。担当者ごとの数字とチーム全体の進捗を同じ画面で確認し、数字が動いた理由まで話し合いましょう。責任者やマネージャーは、感覚を支持するデータと矛盾するデータの両方を確認し、全体を説明できる仮説を考え抜く必要があります。
意思決定から実行までを速くする

意思決定を速くするには、マネージャーの判断基準を明文化し、担当者が自ら判断できる範囲を広げます。予算の上限、期待するKPI、対象顧客との適合、ブランドや法務上のリスク、検証期間などを基準にします。基準内の施策は担当者が進め、基準を超える場合は責任者へ相談するルールにすると、承認待ちを減らせます。振り返りで得た学びを基準へ反映し、判断の質も継続して高めましょう。
データをもとに継続的に改善する

マーケティングは運ゲームではありません。どの施策を行い、どのような結果が返ってきたかを記録し、期待値と比較することで、次の判断に使えるデータが得られます。期待を下回った場合も施策全体を捨てるのではなく、良かった点と悪かった点を分けて考えます。
たとえば、広告の成果が出ない場合、クリック率は良くて、購入率が低いケースがあります。この場合は、広告で訴求している内容に対して、着地ページの内容がズレていたり、いまいち刺さっていないことを疑います。すると、次に打つべき手は、たとえば、着地ページの内容や見せ方の改善ということになります。
問い合わせ数が十分でも商談化率が低い場合は、対象顧客や引き渡し条件を見直します。成約にならない人たちばかり集めてしまっているのかもしれません。たとえば、SNSでプレゼントキャンペーンを打つと、懸賞募集専用に作られたアカウントから大量の応募があり、リアルに使われているアカウントからの反応はほとんどないということも起こります。この場合は、応募数が増えても見込み顧客の獲得にはつながらないため、SNSではなくサイト状のフォーム記入でのプレゼントキャンペーンに切り替えるなど、意味のあるリード情報が得られる施策へ予算を振り替えるべきです。
このように成果を止めている工程、つまりボトルネックを特定すると、改善の優先順位が明確になります。プロジェクトはタスクの連続であり、最も難しい工程が全体の成果を制約します。ベストセラー書籍『ザ・ゴール』(エリヤフ・ゴールドラット著)でも、ボトルネック(制約条件・希少リソース)を見つけ、そこをまず改善する考え方が示されています。仮説、実行、検証、改善を繰り返し、結果と判断を記録することで、チームに再現可能な知見が蓄積されます。
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