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Webの仕事を救う!アナログ手帳の12のスゴい効果

「タスクが多すぎて、キャパオーバーになっている」「チャットやメールの対応に一日中追われ、退勤しても仕事の通知がまだ来ている」「集中して考える時間が取れず、自分はこのままでいいのだろうか」——Webの仕事に携わる人で、こうしたストレスを抱えている方は少なくないのではないでしょうか。

私自身もそうでした。やるべきことが次々降ってきて思考が寸断され、重要な業務がなかなか前に進まない。キャリアや事業全体の戦略に意識を向けたくても向けられない。同じところをグルグル回っているだけで前進している気がしない。そんな日々でした。

散らかった大小さまざまな業務に埋もれて身動きが取れない状況をなんとかしようと、さまざまな方法やアプリも試した中で、最もパフォーマンスが安定したのは紙の手帳でした。

Webの仕事をしているというのに、アナログの手帳を使うという決断は、Webが紙を駆逐すると信じて仕事をしてきた私にとって敗北でした。しかし、アナログな方法であっても、集中力が保たれ、思考が整理でき、発想も自然と広がっていくのならば、それは生産的というものです。

本記事では、Webの仕事を支える紙の手帳の13の効果を、具体的な使い方とともにご紹介します。

紙の手帳の12の効果

紙の手帳にはデジタルにはないよさがあります。それは、単に「紙が好き」という個人の趣味嗜好の話ではありません。情報を記録し、見返し、考えを広げる道具として見ると、デジタルにはない客観的な利点があります。

ここでは、Webの仕事を始めた当初は「紙は死んだ」と言っていた私が、その後、紙の手帳を使うようになって10年以上の歳月を重ねてきたのはなぜか、13の効果をお伝えします。

漢字や英数字に変換するわずらわしさがない

紙の手帳の大きな利点は、漢字変換や英数字の切り替えに気を散らされることなく、思いついた内容をそのまま書けることです。

スマホやPCでは、正しい変換候補を選んだり、誤って選んだ漢字を消して再び入力したり、半角・全角を切り替えたりする小さなストレスが何度も発生します。そのたびに、書きたい内容から意識が逸れます。1回の変換、1回の誤字修正は確かに一瞬です。しかし、書く量が増えればその回数は増え、深い思考になかなか入れません。

その点、紙の手帳は変換のわずらわしさと無縁です。人名、地名、専門用語、型番、記号なども、即座に思い通り記せます。変換ミスや表記の調整作業に中断されずに、純粋に書くことだけができます。

デジタルよりアナログの方が書くスピードが遅いと言う人は多いですが、漢字とひらがな・カタカナと英数字と記号を全て使う日本のビジネスシーンにおいては、変換の手間がない分、デジタル端末に文字を入力するより、紙にペンで書くほうが速く書ける場面は多いです。

PCやスマホの狭い画面から解放される

紙の手帳のよさは、PCやスマホの狭い作業領域から解放されることです。スマホは画面そのものが小さく、PCも表示できる範囲には限界があります。予定やメモを入力する欄も、画面上の一部に収まるため、書ける量や見える範囲が制限されてしまいます。

紙の手帳なら、ページ全体をそのまま作業領域として使えます。画面の枠や入力欄の大きさに合わせる必要がなく、書く場所を広く取れます。

PCやスマホの画面内でメモまで取ろうとすると、重要な資料、メール、地図、表、動画、Webページなどの表示領域をメモ欄が奪います。あるいは、見る時と書く時で都度画面表示を切り替えることになります。見る対象と書く場所が同じ画面を取り合ってしまうのです。

潔く紙の手帳を使うと決めてしまえば、画面は情報表示専用にできます。資料を全画面で見たまま、手元の紙に要点、予定、気づき、次の行動を書けます。これは、「私はやっぱりアナログのぬくもりが好き」というノスタルジーの問題ではなく、限られた時間と集中力で生産性を上げるために必要な合理的な発想です。

通話中でも片手で書ける

スマホでの通話中、片手が塞がった状態でも、紙の手帳であれば空いた片手でペンを持ち、相手の話す要件をそのまま記録できます。机上で180度開く手帳を使用すれば、ページを押さえる必要もなく、通話を継続しながら片手のみで筆記動作が完結します。

一時的なメモ用紙に書き留め、通話終了後にデジタルツールへ転記する手順は、作業工程が増えるだけでなく、メモを紛失する要因にもなります。最初から手帳のしかるべき箇所に直接書き込むことで、この転記の工程を省くことが可能です。

スマホで通話しながらスマホにメモを入力するというのは、無理ではないにしても至難の業です。ワイヤレスイヤホンマイクがあればいくらかやりやすくはなりますが、電話が来たときにタイミングよく装着しているとはかぎらず、再現性が高くありません。紙の手帳とペンをデスクに置いていたり、移動中も持ち歩くようにしておけば、雨降りの屋外でもない限り、通話中に重要なことを書き残すことができます。

学校教育で手書きだったので認知負荷がかからない

紙の手帳が使いやすい理由の一つは、学校教育を通じて、私たちが長年手書きに慣れてきたからです。

小学校から高校まで(あるいはそれ以上まで)、紙のノートを取り、紙で宿題をこなし、紙でテストの答案に記入するという作業を、私たちは延々と続けてきました。

紙にペンで書く動作は、頭で手順を考えなくても自然に始められます。書く内容そのものに意識を向けやすいです。次々と新しく進化していくデジタルツールと違って余計な認知負荷がかかりにくく、迷わず書くことができるのです。

実体のあるモノを扱うという小さな刺激

紙の手帳を開き、ページをめくり、ペンを走らせる一連の動作は、指先に確かな物理的感覚をもたらします。均質なスマートフォンのガラス画面をタップする操作とは異なり、紙の質感、ページをめくる音、筆記時の摩擦といった実体を伴うモノを扱うことで、手を通じて小さな刺激が伝わります。

特に、WebやITなど、一日中PCやスマホをいじる仕事をしている場合、紙の手帳に持ち替えること自体が感覚の切り替えになります。東京大学大学院総合文化研究科などが行なった研究では、紙の手帳で予定を書いた群は、タブレットやスマートフォンを使った群に比べ、想起時に記憶処理や言語処理に関わる脳領域、さらに海馬でより高い活動が見られたと報告されています。論文では、紙が持つ空間的・触覚的な情報が、想起の手がかりとして働く可能性が示されています。

インクを使い切ったときの達成感

インクを使い切ったときの達成感も、紙の手帳を使うメリットの一つです。予定やメモを書き続けていると、ペンのインクは少しずつ減っていきます。目に見えない努力ではなく、書いた分だけ確実に減っていくため、自分が日々考え、記録し、行動してきた量を実感できます。

デジタルのメモは、どれだけ書いても道具そのものは変化しません。一方で、ペンのインクがなくなると、「ここまで使った」という手応えになります。こうした小さな達成感は、仕事のモチベーションを維持する上で決して馬鹿にできません。

一覧性が高い

紙の手帳の強みは、予定やメモの全体像をひと目で把握しやすいことです。

見開きに1週間、1か月の予定をまとめて置けるため、予定の詰まり具合や空き時間、締切の前後関係がすぐに見えてきます。会議、外出、提出日などを並べて見ることで、その日の動きだけでなく、数日先まで含めた流れもつかみやすいです。

さらに、綴じ手帳やリングメモではなくバインダー式のシステム手帳であれば、複数のシートをデスクに並べて俯瞰することもできます。複数の情報を一度に見渡すことで、次に取るべき行動が自然と見えてきます。

写真記憶がしやすい

写真記憶がしやすいことも、紙の手帳を使うメリットです。写真記憶とは、一度見た光景や文字などの視覚情報を写真のように脳裏に焼き付け、後から思い出す記憶能力のことです。一部の人に備わった特殊能力ではなく、「たしか、あのページの右上に書いた」「左下に赤丸をつけた」といったことを手がかりにページを探した経験は誰しもあるものです。

紙の手帳は、ページごとに見た目が変わります。文字の大きさ、余白、線、書き込みの密度、ページの汚れや折れ目も残ります。そのため、内容そのものだけでなく、どこに書いたかを手がかりに思い出しやすくなります。

デジタル情報の場合は画面が均一になりやすく、スクロールが前提なので、情報の位置が固定されません。そのため、「ここにこう書いてある」という記憶がしにくくなります。紙の手帳は、内容そのもの以外の見た目が記憶の補助線になり、書いた内容を思い出しやすいのです。

レイアウトが自由で図も描ける

紙の手帳の利点として、レイアウトや文字サイズをその場の目的に応じて自由に変えられるということも見逃せません。

デジタルの手帳やメモアプリでは、入力欄の形、文字の大きさ、配置のルールがあらかじめ決まっていることが多く、その枠に合わせて情報を収める必要があります。ツールによってはレイアウトや文字サイズが変えられなかったり、変えることはできても直感的にはできず、細かいマウス操作やメニュー選択を強いられます。

その点、紙の手帳では、重要な予定は大きく、補足は小さくできます。余白を広く取っておいて後で書き足しやすくもできます。細かく詰めて書いて、面積あたりの情報量を増やすこともできます。

文字と図表をシームレスに混在させられるのも紙の手帳の利点です。デジタルツールではテキスト入力と描画でアプリケーションやモードの切り替えが必要だったり、そもそも画像が入れられなかったりします。しかし、紙とペンであれば、文字を書きながらそのまま矢印を引いたり、横にイメージ図を描くことが可能です。

Webサイトのワイヤーフレームや設計、コンサルティングのフレームワークやプロジェクトのスキームなど、視覚的な整理が求められる場面で、紙のこの特性は重宝します。

決められたフォーマットやツールの制約を受けず、文字と図を組み合わせて書けるのは、紙ならではの利点です。

ビジネスシーンで個性やステータスを醸し出せる

ビジネスシーンで個性やステータスを表現できることも、紙の手帳を使うメリットです。商談、打ち合わせ、会食などでは、話している内容だけでなく、服装、時計、靴、鞄、筆記具なども相手に見られています。紙の手帳も、その一つです。

たとえば、上質な革の手帳や珍しいデザインの筆記具を使っていると、そういった小物の付加価値にもお金を出せるくらい、仕事がうまくいっている人、仕事にコミットして一定の投資をしている人、必要最低限だけでなく上質であることの価値を理解している人、という印象を与えやすくなります。

見栄の問題ではありません。デザインに関わる仕事をしている人や、有名企業に属している訳ではない人にとっては、限られた時間で人物像や信頼感を相手に伝える上でこういった小物は重要です。

特に紙の手帳は、相手と会話をしながらポイントポイントでメモを取ると、真剣に聞いていることをわかりやすく表現できるので一石二鳥というものです。

通知に集中を妨げられることがない

紙の手帳の利点として、通知に作業の流れを断ち切られないことも大きいです。

スマホやPCでは、資料や文章を作っている途中でも、メール、チャット、新着ニュース、SNSの通知が次々に割り込みます。内容を確認しなくても、通知が目に入った時点で意識は揺れます。内容をチェックして、やっかいな連絡だった場合、集中は完全に失われます。

一方、紙の手帳を開いている時間は、外部からの刺激が遮断されています。これは、いわば超短時間のデジタルデトックスです。情報過多やスマホ疲れによる脳疲労を最小化し、目の前の予定や課題だけに意識を向けやすくなるため、仕事が早く終わりやすくなります。アウトプットの質も上がりやすくなります。

やるべき事だけでなく、やりたい事にも意識を向けやすい

デジタルのタスク管理ツールは期限や優先度を管理し「やるべき事」を消化する機能に特化しています。そのため、明確な期限のない「やりたい事」は入力しづらく、タスクの中に埋もれがちです。

例えば、中長期的なデジタル戦略の見直しや、AIツールを用いた業務のマニュアル化など、緊急ではないが重要な「やりたい事」が、ビジネスパーソンなら誰にでもあることでしょう。

紙の手帳は余白を自由に使えるため、日々のタスクの傍らにこうした構想をフラットに書き留められます。

付箋に書いて、手帳のマンスリーページやウィークリーページに貼っておけば、自然と毎日目に入るため、いつどこから着手しようかと意識を向けやすくなります。結果、「いつかやろう」と思っても結局やらずに忘れ去られがちな構想も、少し調べる、誰かに相談する、次の予定に入れる、といった具体的な行動につなげやすくなります。

紙ではなくITツールを使った方がいいもの

ここまで、紙の手帳のメリットを説明してきましたが、手帳だと不便なこともいくつかあります。手帳よりITツールを使った方が圧倒的に便利な業務管理は次の通りです。

会議の予定管理

会議の予定管理は、紙の手帳よりGoogleカレンダーなどのカレンダーツールの方が向いています。

理由はシンプルで、予定は動くからです。日時変更、参加者の追加、オンライン会議URLの共有、リマインド通知など、会議まわりの情報は後から変わることが多くあります。紙の手帳に書いていると、修正が増えて見づらくなりますし、変更に気づきにくいこともあります。

Googleカレンダーなら、時間、参加者、場所、Google MeetなどのURLをひとまとめにできます。参加者を予定に招待したり通知を出したりもできるので、紙の手帳の出る幕はありません。

チームで進めるプロジェクト

チームで進めるプロジェクト管理も、紙の手帳にはあまり向いていません。

Webの仕事では、1つの案件でも多くの情報が動きます。誰が原稿を書くのか。デザイン確認は終わったのか。実装後の修正はどこまで反映されたのか。こうした情報は、自分だけが把握していても意味がありません。関わる人全員が、同じ状態を見られることが大切です。

紙の手帳は、自分の作業メモや考えを整理するには便利です。しかし、チーム全体の進行状況を管理する場所としては不向きです。

その点、Notionのようなツールなら、タスク、担当者、期限、議事録、参考資料などをまとめて置けます。プロジェクトの「今どこまで進んでいるか」を、チームで同じように確認できます。

Webページのブックマーク

参考になる記事、競合サイト、デザイン事例、ツールの使い方、調査データなど、Webの仕事では「あとで見返したいページ」がどんどん増えていきます。これを紙にURLで書いても、ほとんど役に立ちません。Webページは、クリックしてすぐ開ける状態で保存するから便利なのです。

こういう情報は、Raindropのようなブックマーク管理ツールに任せた方がいいです。フォルダやタグで整理できますし、後から検索もできます。クラウドサービスなので、スマホでブックマークしたページをPCで開くのも(その逆も)楽です。「前に見たあのページ」を探す時間が短くなるだけでも、仕事はかなり楽になります。

Webの仕事で紙の手帳をどう使っているか

ここからは合計100社以上のWebサイト制作や改修、マーケティングに関わってきたWebのプロとして、普段使っている手帳の書き方をご紹介します。

タスク管理ツールに細かく入力したのに見返さない。メモをあちこちに書いて、あとで探せない。忙しいのに、なぜか大事な仕事ほど後回しになる。そんな失敗を何度もしてきましたが、次のような手帳の使い方に落ち着いてからは、会社員の仕事と副業の両方で仕事が回せるようになり、副業を本業にできるまでになりました。

ToDoリスト

ToDoリストとは、その日にやらなければいけない作業を書き出し、終わったものを確認していくためのリストです。全ての手帳術の中で一番の基本となるのが、このToDoリストです。

Webの仕事をしている人がToDoリストを仕事で使うときのポイントは、すべてのタスクを並列に並べないことです。

たとえば、事業会社のWeb担当やいわゆるインハウスマーケターならば、SEOや広告、サイト改修などの施策ごとに項目を立て、それぞれについてToDoを書きます。支援会社に所属するWebクリエイター、デジタルマーケター、コンサルタントならば、クライアント企業やブランドごとに項目を立て、それぞれについてToDoをリストアップします。

そうすると、どの施策やプロジェクトに何が残っているのかが明確になり、全体を見渡しやすくなります。見渡しがよくなれば、どれを最優先にして、どれを後回しにして問題ないかという判断の精度が上がります。

タスク名を具体的に書くこともToDoリスト仕事術のポイントです。たとえば、「A社対応」ではなく「A社の広告レポートを確認/先方へ提出」のように書きます。こうすることで、何をすればよいのか迷わなくなり、ゴールが明確になります。ToDoが1つ片付いた、という小さな達成を感じる上で、タスクの明確化は欠かせません。

達成感という観点で大事なのが、終わったタスクに印を付けることです。人は危機に敏感で、危機に意識が向かいます。ToDoリストを見ても、「まだこんなに残っている」「全然終わっていない」と感じてしまいがちです。しかし、それではモチベーションが下がります。

そこで、私の場合は、リストの中で終わったToDoには赤色で「ス」と書いて丸で囲みます。リスト自体は青で書いているので、「終わった仕事」が際立ちます。チェックマーク「✔」は、学校のテストで間違った答案に書かれていたマークです。せっかくうまく終わらせられたのに、ダメなものと同じマークを使うのは避けるに越したことはないです。ここはペケではなく、しっかり丸をつけます。

大事なのは、「まだ全然やることが残っている」と考えることではなく、「よし、少なくともこれは片付いたぞ」と確認することです。Webの仕事は次から次へと新しい依頼や課題が発生するため、ToDoが全て片付く日はほとんどありません。だからこそ、完了した仕事を意識的に可視化し、小さな達成感を積み重ねることが重要になります。

ToDoリストは、A6サイズの小さい手帳に1日に1ページだけ使います。こうすると一覧性を確保できますし、スマホスタンドに立ててPCの脇に置いておけるので、いつでも見ることができます。できなかったタスクは、翌日のページに改めて書き直します。面倒ですが、その面倒さがかえって、タスクを先送りしていることを自覚しやすくなり、「さすがにこれはもう今日やってしまわなくては」という考えになります。

ToDoは前日の夜ではなく、仕事を始める朝に書きます。Webの仕事は夜のうちに返信や依頼が入ることも多いため、前日に書いても、結局、当日にまた書き加えることになるので二度手間になってしまいます。 ToDoリストは、タスクを単に羅列するだけと思われがちです。しかし、こういったところまで踏み込んで運用することで、仕事はかなり進めやすくなります。ToDoリストが、やるべきことを突きつけてくる脅威ではなく、集中力と気分をコントロールしてくれる心強い味方になってくれます。

タスクの集中と工数記録

やることはたくさんあるのに、なぜか仕事が進まない。ToDoリストを開いても、項目が並んでいるだけで、今この瞬間に何から手を付けるべきかが決まらない。結果として、飛び込んでくるメッセージに反応して緊急度も重要度も低いタスクばかりをやってしまい、本当に重要なタスクは後回し。これは、Webの仕事、そして、ITを使う現代のデスクワーク全般で生じている問題です。

問題の本質は、私たちの意志が弱いからではありません。今何をやる時間なのかが明確でないため、悪いマルチタスクに陥り、次々入ってくる連絡に集中力を奪われ、やりたかったことが遅れてしまいます。

そこで使える手帳術が、今取り組むタスクを一つだけ手帳に書き、工数目標と開始時刻を入れてから着手する方法です。「タスクフォーカス手帳術」と呼ぶことにします。

タスクフォーカス手帳術では、ToDoリストの中から一つのタスクだけを選び、タスク名、目標時間、開始時間を書きます。書いたら、完了するまでそのタスクから離れないということをルールにして運用します。

終わったら終了時刻とかかった時間(工数)を書き、完了マークを書いて、次のタスクをまた一つ書きます。

もし、途中で着信通知が来ても、すぐに反応はしません。実行中のタスクが終わってから確認し、やるべきことがあればToDoリストに加えます。

時間を記録する目的は、細かく管理するためではありません。かかった工数を知ることで、次に同じようなタスクが入ったときに、工数を予測しやすくするのが目的です。マルチタスクをしていると、どんなに仕事を重ねても何に何分かかるのか見えてきません。

名も無き仕事に名前をつけて、「これはどういう仕事なのか」「どうすればゴールなのか」「何分くらいかかるのか」を意識の上にあげ、有限リソースである集中力の消耗を減らす。今この瞬間の業務一つだけに集中しながら、仕事の実態も見えるようにする──それがタスクフォーカス手帳術です。

ノウハウとアイディアの蓄積

Webの仕事をする人にとって、紙の手帳でノウハウやアイディアを蓄積することの価値は、デジタルの枠を超えた自由な発想と、後からの柔軟な情報整理を両立できる点にあります。

日々得る情報や自分で発想したアイディアは、忙しい業務の中ですぐに忘れたり、散らばりやすいものです。手帳に書き溜めておくことで、あとで使える知的資産に変えられます。

たとえばビジネス本を読んだら、自分にとって重要なところを読書メモとして残すことで、企画、改善提案、記事制作といった仕事の糧になります。

ノウハウやアイディアを書き溜めるときにおすすめなのが、無地のシステム手帳のリーフを使い、右利きならリングが干渉しない右ページのみに書くことです。裏面は使わず「1枚1テーマ」で完結させれば、ビジネス本の読書メモなども自由度高く書き込めます。片面しか使わないのがもったいないと感じる人は、できるだけ安い手帳リーフ、あるいは、不要なコピー用紙を手帳サイズに切ってパンチ穴をあけて、白い面を使うとよいでしょう。

溜まったリーフは、持ち歩く手帳に残すもの、自宅保管するもの、破棄するものに分類します。残すものはさらに「セルフマネジメント」「SEO」「SNS」「WordPress」「自社事業」などに細かく仕分ければ、情報の使い勝手がよくなります。 デジタルツールでこういうことをしようとすると、キーワード検索はたしかに便利なのですが、メニュー操作に意識が奪われてしまい、降りてきたアイディアが逃げてしまうことがあります。イメージした図をすばやく描いたり、メモをカードのように何枚も机に並べて俯瞰したりすることもしにくいです。

ジャーナリング

Webの仕事をしていると、頭の中にはいろいろなことがたまっていきます。記事のアイデア、SEOの改善案、SNSの反応、成果が出ない原因として考えられること、次に試したい施策。どれも大事ですが、頭の中だけで考えているだけでは、いつまで経っても次の行動に移せません。

そこで役立つのが、ジャーナリングと呼ばれるメモ術です。ジャーナリングとは、いわゆる日記ですが、客観的な出来事というよりは、気持ちや考えを記録することに重きを置いているのが特徴です。

朝一番に頭の中を書き出すモーニングノートも、ToDoも含めて全てを1冊に記すバレットジャーナルも近年流行していますが、どちらもジャーナリングの一種です。

ジャーナリングの利点は、頭の中の曖昧なものを「扱える形」に変えられることです。印象に残った出来事、ふと浮かんだ仮説、気づき、もやもやを手帳に書き出すと、それまで輪郭のなかった思考が具体的な対象として可視化されます。結果として、根拠なく抱え込んでいた悩みの正体や、次に着手すべきこと、見落としていた重要な課題に気づきやすくなります。

さらに、書きためたメモをAIに読み込ませて、AIとディスカッションをすれば、戦略づくりや業務の整理にも使えます。思考を書くことで、手帳はWebの業務に必要な考える力を支える存在になってくれます。

事業成長やキャリアアップの活動記録

Webの仕事は、クライアントワークや社内から降ってくる業務に時間を取られやすく、自分の事業、キャリア、副業、発信、学習は後回しになりがちです。しかも、それらはすぐ売上や評価に直結するものでもありません。記録しないと、「何も進んでいない気がする」という感覚だけが残ります。

しかし、手帳に「自分のために何をしたか」を残していくと、前進が見えます。もし前進していない場合でも、前進していないことを意識の上に上げられるため「なんとかしよう」という気になれます。

記事を1本書いた。提案文を直した。新しいツールを試した。ポートフォリオを更新した。──こういった小さな行動でも、積み重なると自分の市場価値や事業の土台になります。

さらに記録は、判断材料にもなります。どの発信が反応があったか。どの勉強が仕事につながったか。どの取り組みは続かなかったか。これが見えると、努力を増やすだけでなく、やめることも決めやすくなります。

事業成長やキャリアアップの活動記録の取り方は2段階です。まず市販のウィークリーバーティカル手帳に、何日の何時に何をしたかを簡潔に記録します。たとえば、打合せ、制作、学習といったタスクです。こうすることで、稼働状況が一目で掴めます。次に、週末には1週間を眺め、できたこと・進んだことを数点書き出します。小さな達成の可視化が自己効力感を育て、翌週のエネルギーになっていきます。「どの作業に時間を奪われているか」「成果を生む活動の傾向は何か」という改善や向上のヒントをつかめます。

自分自身のための取り組みを記録することは、日々の行動を消費ではなく投資に変えることです。会社員ならキャリアの棚卸しになり、事業主なら事業の成長記録になります。紙の手帳に残すことで、自分がどこに向かっているのかを見失わずに済みますし、行きたい方向に近づいているのかをモニタリングできます。

3 Good Things

3 Good Thingsとは、その日にあったよかったことを3つ書き出す手帳術です。短時間で実践できる手軽さと、ネガティブに引っ張られがちな気分を前向きに整えやすいことから、手帳系YouTuberやインフルエンサーの間でもよく紹介されています。

Webの仕事でのよかったことは、たとえば、記事を書いた、提案資料を作った、クライアントから感謝の言葉をもらったなどの小さな出来事から、受注を獲得した、サイト制作が納品完了した、といった大きな達成まであります。いずれにしても、その日を振り返り、3つ書き記します。書き記すことで、自分が生み出した価値が蓄積されていることを実感できます。

日々、仕事を続けていると、終わっていないことや、できなかったことに意識が向きがちですが、3 Good Thingsは自分の成果や成長を強く実感させてくれます。他人はめったに褒めてくれません。プロフェッショナルの現場では、仕事はできて当然と思われますし、難なくできたようにふるまうことを求められることも多いものです。

特にWebの仕事は、ちょっとした手直しもデザインやコーディングの作業が発生し、依頼者の想像よりも手間がかかりがちです。「もっと生産性を高めなければ…」と焦るよりも、日々の達成と前進を認識して、ポジティブな気分を維持することの方が、結局は生産性にもプラスになります。

3 Good Thingsは、手帳のマンスリーブロックのページに記入すると、記入欄のサイズ的にちょうどいいでしょう。1週間分、あるいは1カ月分を見返したとき、「思った以上にいろいろやれている」という実感が自己効力感を高めます。「自分は仕事を達成する能力がある」と自覚することは、ときに能力そのものよりも成果をもたらすと言われています。

構成ラフの作成

サイトや記事、パワーポイント資料、企画提案書など、私たちの業務は、情報コンテンツの制作と切っても切れない関係です。コンテンツを作る上で重要なのが構成であり、構成はラフな下書きをしてから固めていくのが効率的です。

Webの仕事であっても、いきなりPCで作り始める前に、紙でアナログに構成ラフを書くことにはメリットがあります。画面に縛られず手を動かすことで素早く考えがまとまりますし、全体構造を一望できるため情報の優先順位や流れを直感的に判断できます。

構成ラフを書くときは、A4用紙を横長のクリップボードにはさんで使うのがおすすめです。A4用紙は書くスペースが広く、中央部分も平らなので考えることに集中できます。安くて容易に手に入ります。そして、横長のクリップボードは、PCをデスクの真ん中に置いたままでも、机の端や膝の上で安定して書けます。

書いた構成ラフは、スマホで撮影してAIに書き起こさせればPCに取り込むことができます。スマホスタンドにクリップボードごと立てられるので、構成ラフをデュアルディスプレイのようにデスクの脇に置いて、それを見ながらPC作業ができるのも便利です。

Webの仕事で愛用している手帳製品

紙の手帳を仕事に使おうと思っても、どれを選べばいいのか迷いやすいものです。世の中には数多くの手帳が売られていて、たとえば、渋谷のロフトの店内だけでも約3400種が売られています。

ネットで話題の手帳を買っても続かなかったり、重くて持ち歩かなくなったり、書くことが多くなりすぎて本来の業務を圧迫してしまったりと、手帳選びは、意外と失敗しやすいのです。

そこでここからは、Webの仕事で私が実際に使っている手帳やメモ・ノート類を紹介します。単なる文具紹介ではなく、「どんな仕事に向いているか」「どう使うと便利か」という視点で整理していきます。

リヒトラブ オープンリングノートA6

(出典:store.lihit-lab.com)

リヒトラブのオープンリングノートシリーズは、リングノートなのに、リングが簡単に開閉できて、ページを入れ替えることができるのが特徴です。いろいろな街かどにある文具店でもよく見かけることから、ユーザーも多い商品と考えています。

私は、A6サイズのオープンリングノートを使っています。外に持ち運びしやすいサイズ感と、書く面積が少ない分、ページを使い切った達成感を味わいやすいところが気に入っています。

このノートでは、前述のタスクフォーカス手帳術を実践しています。つまり、その時間に取り組むタスクをリアルタイムで一つひとつ言語化し、目標工数と実際に掛かった工数を記録します。

手間ではありますが、こうすることで、何にどれくらい時間がかかったのかを把握できて、各タスクの工数の見通しが立つようになります。

また、着手したそのタスクが終わるまでは、それ以外のことに注意を逸らされないようになるという効果もあります。ゲームのタイムアタックをしているような気分にもなり、単純作業でも最短クリアを目指そうという意識が生まれます。

リフィルは、リヒトラブ公式のものの他、コスパのよい他社のA6リングノートのリングをばらせば、オープンリングノートに入れて使うことができます。ただし、A6と微妙に違うサイズだったり、13穴ではなく12穴しかないものも売っていますので注意が必要です。

フランクリンプランナー システム手帳(コンパクトサイズ 内径40mmリング)

(出典:www.franklinplanner.jp)

システム手帳は、フランクリン・プランナーのコンパクトサイズを使っています。オフィスやクライアント先で出しても恥ずかしくない牛革製で、内径40mmという、他にはないほどの大容量が気に入っています。

フランクリン・プランナーのコンパクトサイズは、通常のバイブルサイズと互換性がありつつ、横幅がバイブルよりも広い絶妙な設計も秀逸です。A6サイズのメモを挟んでも端がはみ出さず、大切な情報を守りながら一元管理できます。

これを買ったのは、東京駅八重洲地下街の「フランクリン・プランナー ヤエチカ店」でした。それまで使っていたシステム手帳を下取りしてくれて、割引になりました。下取り割引の仕組みは、顧客が愛着を持っている道具を手放しやすくし、買い替えを促進できる優れたマーケティング施策なのだと気づきました。そのことを、この手帳に真っ先に書いたのを覚えています。

自分軸手帳

(出典:shop.jibunjiku-planner.com)

自分軸手帳は、通常の綴じ手帳に、内省や成長をサポートするワークのページを加えた手帳です。

自分軸手帳のページの中でも、24時間表記のウィークリーバーチカルを重宝しています。土日が簡略化されておらず、平日と同じ面積が確保されているため、週末にする仕事も書きやすいです。このページには、前述した事業成長の活動記録を残しています。時間軸に沿って残すことで、自分が何に時間を投資したかが一目で分かり、振り返りと改善が進みます。

この手帳のマンスリーブロックのページには3 Good Thingsを書いています。目標ページやセルフマネジメント系のワークも用意されていますが、この手帳には書かず、この手帳を参考に、別のシステム手帳やオンラインツールに書いています。

マグフラップ

(出典:www.kingjim.co.jp)

キングジムのマグフラップは、手帳というよりもクリップボードですが、紙に書いて思考を整理するという意味で、形状は違いますが手帳の親戚のようなものです。いろいろなバリエーションがありますが、私はA4長辺とじの横長タイプを使っています。

マグフラップは、コピー用紙をしっかり挟み込んで、デスクのスペースを気にせず書けるところが優れています。通常のA5ノートを見開きで使う場合、机の上に広い空きスペースを作らないと置けません。その点、クリップボードであれば、PCをデスクの真ん中に置いたままでも、机の端や膝の上で安定して書けます。

さらに、マグフラップは、紙をめくったときに裏面に磁石で留めておけるため、他のクリップボードのように、ばさばさと乱れて扱いにくくなるストレスがありません。

私は、記事やWebページ、会議資料、企画書の構成ラフを書くときにマグフラップを使っています。マグフラップに書いた構成ラフをそのままスマホスタンドに立てかけてPCの横に置けるので、メモを見ながらPCで制作作業がしやすいです。

【無料進呈】生成AIを組み合わせた手帳術

紙の手帳は、Webの仕事に潜む集中力と思考の分断に対する、現実的な処方箋です。私自身は、カレンダーやプロジェクト管理はデジタルに任せ、思考を深める場面では紙に戻る、というハイブリッドな使い方に落ち着いています。

最近はそこに生成AIが加わり、手帳に書いたメモをAIに読ませて整理させたり、走り書きのアイデアを壁打ち相手として深める、という流れも組んでいます。

たとえば、タスクフォーカス手帳の工数記録を読ませて、「時間がかかりすぎている作業と改善案を教えてください」と聞けば、働き方の見直しにつながります。また、構成ラフをAIに読ませて、「この構成で受け手が理解できなくなりそうな箇所を指摘してください」と投げれば、記事や企画書を作ってから直す手間が減ります。ジャーナリングのメモなら、「これを読んで本質課題を言語化し、解決策を3案出して」と頼むこともできます。

AIの回答で有用だと思った箇所は、また手帳にメモしていけば、自分自身のメソッドや仕事術になります。

このようにアナログとデジタルを行き来することで、日々の仕事の質が底上げされます。

ここまで読んでくれた方のために、手帳をAIでさらに便利に活用するためのプロンプト集を無料進呈します。書いたものをスマホで撮って生成AIに投げるだけで、タスク整理、工数の見直し、ジャーナリングの深掘り、記事構成の改善までできるプロンプト180個をまとめてあります。下記のフォームより、お気軽にご利用ください。

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※フォーム送信後、プロンプト集のアクセス情報をお送りします。

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